皆さん、こんにちは。
表面処理薬品のタイホーです。
以前の記事で、電気亜鉛めっきについて簡単に解説してきました。
前回の記事(電気亜鉛めっきとは?)はこちらからどうぞ
鉄が錆びるのを防ぐ為に行われる亜鉛めっきですが、実は亜鉛をめっきする方法としては電気亜鉛めっきの他にも、もう1種類あります。
それが、 溶融亜鉛めっき という処理です。
今回は溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきの違いについて簡単にご説明していこうと思います。
目次
溶融亜鉛めっきとは?
溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛が溜まっている槽に品物(鉄製品)を浸漬した後、冷やすことで、品物(鉄)表面に亜鉛皮膜を形成するめっき方法です。ドブづけ等と呼ばれたりもします。
電気亜鉛めっきと違い、電気ではなく、熱を使ってめっきする方法になりますね。
溶融亜鉛めっきの場合も、鉄を亜鉛が守る犠牲防食作用が働くので品物(鉄)が錆びるのを防ぐことができます。
※犠牲防食作用についてはこちらの記事(電気亜鉛めっきとは?)をご参考ください。
電気亜鉛めっきとは?
電気亜鉛めっきについては、こちらの記事(電気亜鉛めっきとは?)で詳しく解説しているので、ご参考ください!
一言で説明すると、亜鉛が溶けためっき液(水溶液)に品物(鉄製品)を浸漬させて電気を流して亜鉛の皮膜を析出させる方法になります。
溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきの違い<メリット・デメリット>
溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきの違いを比較してみるとこんな感じになります。
<溶融亜鉛めっきのメリット>
- 膜厚を厚く付けることができる。数十 μmをめっきできる。
- めっき膜厚が厚いので母材(鉄)が錆びるのを長期間防ぐことができる。
- 建材など、大型の品物に対して使われる場合が多い。
- 電気亜鉛めっきでは電流が流れにくい部分があるような複雑な形状の品物(筒状など)でも処理できる。
<溶融亜鉛めっきのデメリット>
- 光沢、外観等は電気亜鉛めっきに劣る場合が多い。
- 緻密なめっき膜厚のコントロールは難しい。
<電気亜鉛めっきのメリット>
- 緻密なめっきを付けることができ、光沢が良い、外観に優れる。
- めっき膜厚のコントロールがしやすい
- クロメート処理、3価クロム化成処理を行う事で色味を持たせ意匠性を向上できる。
- 自動車部品、ネジやボルトといった小型の品物に対して使われる場合が多い。
<電気亜鉛めっきのデメリット>
- 溶融亜鉛めっきのような厚い膜厚を付けることは難しい。
- 溶融亜鉛めっきに比べると膜厚が薄い為、耐食性については溶融亜鉛めっきに劣る場合がある。
- 大型の品物を処理するのが難しい。
まとめ
今回は溶融亜鉛めっき・電気亜鉛めっきの違いを解説しました。
いかがだったでしょうか?
- 溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛に浸漬して皮膜を作る方法
- 溶融亜鉛めっきは、建材等の大型の品物に向いている
- 電気亜鉛めっきは、自動車部品等の小型の品物に向いている
それぞれ、長所と短所のある亜鉛めっきですので用途に応じて使い分けるようにしたいですね。
弊社が電気亜鉛めっきの薬品メーカーなので、どうしても、溶融亜鉛めっきに関する知識は現場のノウハウが少なくなってしまい心苦しいのですが、少しでも皆さんの疑問解決に役立つと幸いです。
今回の記事が亜鉛めっきや化学、実験などに興味を持つ方に対して、ほんの少しでも参考になれたなら嬉しいです。
それでは、今回もここまで読んでいただきありがとうございました!
また、次の記事でお会いしましょう!
なお本記事は以前にnoteに掲載していた記事を加筆・訂正したものになります。
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