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電気亜鉛めっきとは?防錆、鉄が錆びるのを防ぐ!<優しく解説>

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電気亜鉛めっきとは?防錆、鉄が錆びるのを防ぐ!

皆さん、こんにちは。
表面処理薬品のタイホーです。

鉄等の金属は錆びやすいはずなのに、放っておいても錆びないのは何故か不思議に思ったことはありませんか?
実は鉄等の金属はそのままだと錆びてしまうので、錆びるのを防ぐ(=防錆)目的で施されている処理があります。

それが 電気亜鉛めっき という処理です。

今回は電気亜鉛めっきについて簡単にご説明しようと思います。

※亜鉛めっきには電気亜鉛めっき以外にも溶融亜鉛めっきという処理もあります。溶融亜鉛めっきについては、別の記事で詳しくご説明させて頂きます。

目次

 

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電気亜鉛めっきとは?

電気亜鉛めっきは、鉄等の金属(=素材)を亜鉛が溶けためっき液に浸漬し、電気をかけることで素材表面に亜鉛の皮膜を析出させて、めっきする方法です。

電気亜鉛めっきの具体的な手順としては、一般的に次のような手順で行われています。


脱脂 → 水洗 → 酸洗 → 水洗 → 電解洗浄 → 水洗 → めっき処理 → 水洗 → 硝酸活性 → 水洗 → 後処理 → 水洗 → 乾燥


水洗が多くて手順が多く感じますね!でも次工程に移る前の水洗はとても大切だったりするのであえて書かせていただきました。(めっき業者さんによって水洗の回数、工程等は異なります。)

それでは、ざっくりと各工程で何を行っているかを見ていきましょう!

 

<脱脂>

脱脂は、その名のとおり油汚れ等を取り除く処理になります。
めっきを行う素材表面が清浄でないと綺麗なめっきが出来ません。
各薬品メーカーの薬品を使って脱脂液を用意し、50~80℃程度の温度で素材を浸漬させることで、素材の油汚れを取り除きます。

 

<酸洗>

酸洗は、脱脂して油汚れを取り除いた素材を酸性の液体に浸漬して素材表面に残っている酸化被膜(=スケールと言います)、錆等を取り除く処理です。
主に塩酸が使われています。

 

<電解洗浄>

電解洗浄は、酸洗を行った際に素材の表面に残ってしまう酸に溶解しにくい物資(=スマットと言います)を電気分解で発生する泡の力で取り除く処理になります。
主に各薬品メーカーの薬剤を用いて電解液を用意し、素材を浸漬、電流を流すことで洗浄します。

 

<めっき処理>

めっき処理は、鉄等の金属(=素材)を亜鉛が溶けためっき液に浸漬し、電気をかけることで素材表面に亜鉛の皮膜を析出させて、めっきする工程です。
めっき液には亜鉛の他に各薬品メーカーの薬剤を添加することで光沢、外観、密着性等に優れためっきをすることが可能になります。

※ちなみに電気亜鉛めっきの浴種については大きく分けて、シアン浴ジンケート浴塩化浴(=酸性浴)の3つがあります。この3つの浴種の違いについては長くなってしまうので、また後日詳しくご説明しますね。

 

<硝酸活性>

硝酸活性は、めっきした後に薄い硝酸に浸けることで亜鉛めっき皮膜の表面を削り皮膜を清浄にする処理です。
薄皮を一枚剥くような感じですね。

 

<後処理>

後処理は、硝酸活性を行っためっき物を6価クロム酸を主とする溶液に浸ける(=クロメート処理)、または各薬品メーカーの販売している3価クロムの薬品に浸ける(=3価クロム化成処理)を施すことで外観の色調を変え、耐食性を持たせる処理になります。
この処理を行うことで亜鉛めっきが錆びにくくなります。

 

<乾燥>

後処理まで終わっためっき処理品はしっかりと乾燥させます。
この乾燥が不十分であったり、条件が悪かったりすると変色や、耐食性の低下などが起きる可能性がありますので、しっかりと行う必要があります。

 

電気亜鉛めっきの防錆原理について(犠牲防食)

<電気亜鉛めっきの防錆原理(犠牲防食)>

電気亜鉛めっきの防錆原理についても簡単にご説明します。

亜鉛めっきは鉄を錆から防ぐ目的で実施する処理ですが、実は亜鉛は鉄よりも錆びやすい金属になります。
なぜ、鉄よりも錆びやすい亜鉛を表面にめっきするのでしょう。

その理由は、もしも、めっきした製品の表面に傷などが付いてしまった場合に、鉄よりも先に周囲の亜鉛が錆びてくれるので鉄素材自体は錆びないで済むからです(=これを犠牲防食と言います)。
表面の亜鉛が錆びてしまっても素材自体は守られるという訳ですね!

ちなみに、鉄が錆びると赤い錆が生じますが、亜鉛が錆びると白い錆が発生します。
身近な金属で白色の錆が発生していたら、亜鉛が犠牲防食の働きをして鉄を守っているのかも知れないですね。

  

後処理について

<クロメート処理について>

亜鉛は鉄よりも錆びやすいということは説明しましたが、亜鉛自体も錆から守りたい。その為に行われるのがクロメートと呼ばれる処理です。

クロメート処理は、亜鉛めっきを行った製品を6価クロム酸の液に浸けることで亜鉛めっき表面にクロムを含む不活性な耐食性皮膜を作る処理になります。
これにより亜鉛めっきの表面に錆びを発生しにくくしています。

また、クロメート処理することで色調が変わり、白色、虹色、黒色、緑色などといった様々な色を持たせられ外観も向上します。

<3価クロム化成処理について>

亜鉛めっきの耐食性を向上させるクロメート処理には、6価クロム酸を用いますが、6価クロムは毒性、有害性が高い点が問題になっていました。

そこで現在では、6価クロメートの代わりに毒性の無い3価クロムを用いた化成処理皮膜を施すのが主流になっています。

これを3価クロム化成処理と呼んでいます。
3価クロム化成処理を行う事で表面に6価クロムを含まない不活性な耐食性皮膜を生成することができます。

3価クロム化成処理は各薬品メーカーの薬品を用いて処理液を作り、そこに亜鉛めっきした製品を浸漬することで処理を行います。
この処理を行うことで亜鉛めっきの錆が発生しにくくなり、白色(青色、黄色)、黒色といった色を持たせることができ外観の良さも向上します。

 

 

電気亜鉛めっきのメリット・デメリット

<電気亜鉛めっきのメリット>

電気亜鉛めっきのメリットとして比較的コストが安く、鉄の錆を防ぐことができます。
また、金属光沢を持たせたり、色調を変えられるので外観も向上させることが可能です。

 

<電気亜鉛めっきのデメリット>

電気亜鉛めっきのデメリットとして、高温ではクロメート皮膜、3価クロム化成皮膜が壊れてしまうことがあり、何百度にもなるような高温で使うような物には使用できないことがあります。
また、亜鉛めっきが元々は耐食性を求めた機能めっきなので、外観の意匠性については他のめっき(ニッケルめっき、クロムめっき)の方が優れる場合があります。

 

 

電気亜鉛めっきはどこで使われているの?

電気亜鉛めっきは、ネジやボルト、自動車の部品といった主に鉄製の加工された金属の表面処理として様々な場面で利用されています。
最近では、鉄以外にも亜鉛ダイカスト(溶かした亜鉛合金を金型に流し込んで成型する鋳造方法で作られたもの)の製品などにも利用されています。
電気亜鉛めっきを行う事で、外観が良くなったり、素材(鉄)が錆びるのを防ぐといったことが安価で可能になるためです。

実際に電気亜鉛めっきを工業的に行う場合には、強酸性、強アルカリ性の液体、青化ソーダ(良く推理小説などである青酸カリと同じシアン化合物ですね)、クロム酸といった人体に有害な物質を使う場合もあるので、専門知識の元で安全に注意して処理を行う必要があります。
また、処理を行う際には専用の設備が必要となります。
もしも電気亜鉛めっきを行いたい場合には専門の業者に頼むようにしましょう。

 

まとめ

今回は電気亜鉛めっきについて凄く簡単に解説しました。
いかがだったでしょうか?

弊社が亜鉛めっきの薬品メーカーということもあり、簡潔に書こうと思ったのですが、とても長い文章になってしまいました。
読みづらいところなどあったらすみません!

各工程や処理の詳しいことなどについても書いていけたら良いなと思っているので、ご興味が有る方は楽しみにお待ちください。

今回の記事が亜鉛めっきや化学、実験などに興味を持つ方に対して、ほんの少しでも参考になれたなら嬉しいです。
それでは、今回も、ここまで読んでいただきありがとうございました!

また、弊社ではSUS304、316といったステンレス向けの化学研磨剤(薬品)を取り扱っております。
お試しになりたい場合は、画面下部の"お問合せフォーム"からお問い合わせください。

なお本記事は以前にnoteに掲載していた記事を加筆・訂正したものになります。

 

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