2021年12月1日から3日にかけて開催された表面改質展2021に弊社も展示させて頂いた際に、
化学研磨のメカニズムについて教えてほしいとのご要望を頂きましたので、簡単な解説になりますが本記事を作成致しました。
目次
化学研磨液で研磨するとどうして平らになるのか?
凹凸がある品物を研磨液に漬けているだけで平らにできる理由は、品物を浸漬した際に研磨液と金属表面の間に発生する拡散層と呼ばれる高粘度の液体皮膜が鍵となっています。
金属の表面は凹凸がありますが、拡散層は金属表面の凹凸を埋めるように生成され、研磨液側に対しては平行になります。
その結果、拡散層を通すことで金属表面の凹凸により、表面と研磨液の間の距離に差が生まれます。
この距離により反応速度に差が発生し、結果として凸部は多く、凹部は少なく削られ、全体として平らになっていくという形です。
これが化学研磨で表面が平らになっていくメカニズムです。
簡単にご説明すると上記の通りなのですが、簡潔すぎるかと思いますので、以下に研磨液に漬けたときからどのような動きをしているのかを模式図を見ながらご説明していきます。
STEP1 金属表面と研磨液が接触
品物を薬品に漬けると、品物と薬品が触れた部分から研磨が始まります。
図1 研磨液に品物を漬ける
STEP2 拡散層が形成される
研磨が進むと、品物と研磨面に拡散層が生成され、、研磨液との間に距離が生まれます。
拡散層は品物表面に沿う形で生成され、厚みが出てくると研磨液と平行になります。
ちなみに拡散層は粘度の高い液体被膜です。
図2 拡散層の形成
STEP3 拡散層により反応の速度に差が発生する
生成された拡散層に厚みが出てくると、金属表面の凹凸により、表面と研磨液の間の距離に差が生まれることになります。
この距離の差によって、凸部は研磨液との距離が近く反応が速い、凹部は距離が遠く反応が遅くなると考えられております。
図3 拡散層による研磨液と金属表面の距離の差
図4 研磨液との距離による反応の差
STEP4 表面が平らになる
STEP3での反応速度の差により、凸部が先に削られることになり、結果として平滑に近づいていくと考えられています。
図5 処理後の表面
おわりに
化学研磨のメカニズムについて簡単にご説明しましたが、いかがだったでしょうか?
表面処理や化学について少しでも興味を持ってもらえたり、参考にしていただければ嬉しいです。
今回も、ここまでお読みいただきありがとうございました!
また、弊社ではSUS304、316といったステンレス向けの化学研磨剤(薬品)を取り扱っております。
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なお本記事は以前にnoteに掲載していた記事を加筆・訂正したものになります。
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