
金属製品の防錆に不可欠な電気亜鉛めっき。
しかし、めっき後のベーキング処理による光沢低下は、多くの品質管理に携わる方々や技術者の方々を悩ませる課題です。
本記事では、ベーキング処理の重要性と、高強度鋼部品などに見られる水素脆化対策後の外観品質劣化という問題を、当社の革新的な光沢剤『パワージンケート23V4』がどのように解決するのか、具体的な対策とともにご紹介いたします。
※今回ご案内する『パワージンケート23V4』およびステンレス用化学研磨剤に関する資料になっております。
目次
- ベーキング処理とは?その水素脆化防止に不可欠な意味と目的
- ベーキングの処理条件:品質を左右する温度と時間
- なぜ発生する?ベーキング処理後の深刻な光沢低下問題
- 【解決策】ベーキング後の光沢低下は『パワージンケート23V4』で対策! ~機能と美観を両立~
1. ベーキング処理とは?水素脆化防止に不可欠なその意味と目的
電気亜鉛めっき処理を行う際、鋼材中に水素が取り込まれることがあります。
この残留水素は、長期間の使用において金属が脆くなり、破損につながる「水素脆化」という深刻な問題を引き起こす可能性があります。
特に自動車部品などに使用される高強度鋼では、この水素脆化対策が極めて重要です。
ベーキング処理とは、この水素脆化リスクを除去するために、めっき処理後の製品を一定温度で加熱する熱処理のことです。
加熱によって鋼材中の水素を拡散させ、外部へ放出させることを目的としています。
従来、ねじやボルトなどのバレル処理品が主な対象でしたが、近年では、ラック処理品においてもベーキング処理の指定が増加しており、めっき工程の管理現場ではその対応に追われています。
なお、電気亜鉛めっきの工程では、このベーキング処理以外にも、素材や要求品質によって様々な処理が施されます。
例えば、外観や耐食性を高めるための後処理も重要となります。
2. ベーキングの処理条件:品質を左右する温度と時間
ベーキング処理の条件は、鋼材の種類(特に高張力鋼など)、硬度、めっきの種類、製品の形状や厚みなどによって精密な調整が求められます。
詳細は受渡当事者間の協定によりますが、一般的には以下の範囲で行われます。
- 処理温度: 180~220℃程度
- 保持時間: 2~8時間程度
処理は専用のベーキング炉を使用し、均一な温度管理が重要です。
めっき後、できるだけ速やかに処理を開始することが、水素脆性を効果的に防ぐためのポイントです。
ベーキング処理を含む、一般的な亜鉛めっき工程を以下に記します。
- アルカリ脱脂
- 酸洗
- アルカリ電解脱脂
- 電気亜鉛めっき
- 硝酸活性
- 乾燥
- ベーキング処理
- 硝酸活性
- 3価クロム化成処理(三価クロメート)
- 乾燥
3. なぜ発生する?ベーキング処理後の深刻な光沢低下問題
ベーキング処理は水素脆性を除去するために不可欠な工程ですが、一方で、処理後にめっき表面が白く荒れた状態になり、光沢が著しく低下してしまうという課題があります(写真参照)
これは、従来の光沢剤ではベーキングの熱により有機物が分解・変質し、表面の平滑性が失われるためです。
特に、外観が重視される部品や、製品の顔となる部分に使用される亜鉛めっきにおいて、この光沢低下や表面粗さの悪化は、製品価値の低下に直結する大きな問題です。
品質管理の観点からは外観不良による検査落ちや顧客クレーム、生産効率の面では歩留まりの悪化や手直しコストの増大といった課題に繋がります。
また、めっき技術に携わる方々にとっては、ベーキング後の外観安定化は長年の悩みの一つと言えるでしょう。
この問題は、特に3価クロム化成処理後の外観維持といった点でも重要視されます。
4. 【解決策】ベーキング後の光沢低下は『パワージンケート23V4』で対策!
~機能と美観を両立~
このようなベーキング処理後の亜鉛めっき光沢低下という深刻な課題に対し、当社の革新的な光沢剤『パワージンケート23V4』が優れた効果を発揮します。
『パワージンケート23V4』は、ベーキング処理後も高い光沢を維持するだけでなく、3価クロム化成処理との相性も良く、安定しためっき品質を提供します。
写真にあるように、従来の光沢剤を使用した処理品は表面が荒れて平滑性が低下し、光沢が低下しています。


『パワージンケート23V4シリーズ』を使用した処理品では、ベーキング処理前後で表面の変化が少なく、光沢が維持されていることが分かります。

【『パワージンケート23V4』が選ばれる理由】
・外観不良削減とコストダウンを実現
写真にあるように、従来の光沢剤を使用した処理品はベーキング後に表面が荒れて平滑性が低下し、光沢が失われています。
一方、『パワージンケート23V4』を使用した処理品では、ベーキング処理前後で表面の変化が極めて少なく、高い光沢が維持されていることが明確に分かります。
これにより、外観検査の合格率が向上し、不良品削減によるコストダウン、顧客からの外観クレームリスク低減に貢献します。生産ラインの安定化にも繋がります。特に、3価クロム化成処理後の外観安定性は、歩留まり改善に直結します。
・プロセス安定化とトラブルシューティング工数削減
『パワージンケート23V4』は、ベーキング耐性に優れた特殊な配合により、高温処理後もめっき表面の分解・変質を抑制。安定した光沢と平滑性を維持します。
これにより、めっき液管理の複雑さを軽減し、ベーキング後の外観劣化という特定のトラブルシューティング工数を大幅に削減できます。
・高強度部品の機能性と意匠性の両立を可能に
高強度鋼部品の設計において、水素脆化対策(ベーキング処理)は必須ですが、それによる外観劣化で意匠性を諦めていませんでしたか?
『パワージンケート23V4』を使用すれば、ベーキング処理後も美しい光沢を維持できるため、機能性と外観品質の両立が可能になります。
これにより、設計の自由度が向上し、より厳しい顧客要求にも応えることができます。
まとめ
当社の亜鉛めっき用光沢剤『パワージンケート23V4』をご使用いただくことで、水素脆化を防止するためのベーキング処理を行っても、美しい光沢を維持した高品質な亜鉛めっき製品の製造が可能になります。
ベーキング後の光沢低下、3価クロム化成処理後の外観不良などでお悩みの際は、ぜひ当社製品『パワージンケート23V4』をご検討ください。
製品に関する詳細な情報や技術的なご相談、サンプル評価のご依頼は、お気軽にお問い合わせください。
貴社の製品品質向上とコスト削減に貢献いたします。
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